黄金境を目指して エピローグ第2話(最終話)

 ガリアに帰国して一か月後、クオレとアランの姿は酒場「夏のそよ風」亭にあった。そして、かつてハイマンと談話をした席について彼に対する感謝をささげた。
 ハイマンはクオレが帰国した数日後に他界した。患っていた胃の腫瘍が原因での病死であった。
 ハイマンが永眠するまでの間、クオレは彼の傍に付き添い、自分が体験してきた冒険をずっと語ってやった。ハイマンは涙を流しながらクオレの無事を喜び、最後まで笑顔で話を聞いて喜んでいた。

「おめでとう、クオレ」

 それがハイマンの最後の言葉であった。
 彼の死後、ハイマンの名誉は回復された。クオレの活躍によって黄金境が実際にあったことが確認されたため、帝国大学はハイマンの業績を称え、慰霊碑を建てた。その碑にクオレは感謝の一文を贈った。クオレの冒険を手助けしてくれたハイマンの日記は重要な資料としての保存が決まり、今後、異大陸を研究するうえで重要な資料となるであろう。
 夏のそよ風亭にて酒を酌み交わしながら、クオレとアランはしばらく酒を飲んでいたが、ふと、クオレが話題を変えた。

「・・・・・・実は先日、陛下から呼び出しを受けてな、試作段階だった蒸気船が実装されたことを教えてもらったんだ」
「蒸気船? なんだ、それは?」
「おれも詳しくは知らないんだが、なんでも、蒸気を動力とする船なんだそうだ。帆船のように風に左右されることなく、それでいて帆船よりも早く進むことができる船だそうだ。大洋も数倍の速さで渡れるらしい」
「凄いじゃないか、それは!」
「でだ、ここからが本題なのだが、その蒸気船を使ってもう一度、異大陸に赴くように命じられたんだ。理由は、インティと交友関係を結ぶため。陛下は異大陸に大変な興味を示されていてな、交易関係も築きたいと思っているらしい。そこで、その足がかりとしておれが使者として任命されたのだが、知ってのとおりおれはインティ語が話せない。だからアラン、おまえにもう一度、同行をお願いしたいのだが、頼めるか」

 アランは即答した。

「むろんだ、共に行こう。もう一度、インティへ」
「ありがとう、恩に着るよ」

 そう言ってクオレはアランのグラスに酒を注いだ。
 酒を飲みながらクオレは思った。
早くもラトゥラとの約束を果たすことができるな、と。
 その後、クオレはガリアとインティの交友関係を築くために尽力することになる。その間、クオレには数々の困難が降りかかるのだが、そのつど、クオレは自らの力で運命を切り開いていくことになる。
 そしてインティの王、ラトゥラとの仲であるが、この時はまだ、神のみぞ知るだけであった。


                                了


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黄金境を目指して エピローグ第1話

 ・・・・・・約五か月間にわたる長い冒険を終え、クオレ一行はガリアの地へと戻ってきた。むろん、手ぶらではなく、莫大な黄金とともに。
 魔物を倒した後、クオレらガリア人たちはインティの人々に深く感謝され、英雄としてもてはやされた。インティ人たちはクオレたちに対し、ぜひこの地に留まってほしいと願ったが、クオレはその申し出を丁重に断った。自分たちには帰るべき場所があり、帰りを待っている人たちがいると。
 インティの人々は残念がったが、ならば代わりにと、感謝の気持ちを込めて、莫大な量の黄金をガリア人たちに贈った。その量たるや、大人百人分の体重を上回るほどであった。ガリア人たちが狂喜したのは言うまでもない。彼らはこれを手に入れるために、苦難の道を乗り越えてきたのだから。
 クオレたちはラトゥラを含めた数百人のインティ人たちにネイビーブルー号まで見送られて、そこで彼らと別れを告げた。
 クオレは最後、ラトゥラと短い会話を交わした。

「どうだラトゥラ、魔物が死んだ以上、もう儀式に縛られる必要はなくなった。おれと一緒にガリアに来てみるか?」

 クオレの誘いに対し、ラトゥラは感謝を述べ、それから首を横に振って断った。

「ありがとうございます。ですが、わたしはこの地を離れるわけにはまいりません。わたしにはまだ、やるべきことがたくさんあるのですから」

 彼女のいう通り、ラトゥラにはやるべきことがたくさんある。内乱によって分裂した国の修復、魔物によって破壊されたクイラの再建、殺された人々を悼み、鎮魂の儀式もおこなわなければならない。やることが一杯だ。だが、この国の王として、彼女は責務を果たすつもりであった。

「ならば、またおれのほうからこの国へ来よう。今度はガリアに関する話を一杯携えてな。楽しみにしているがいい」
「はい、楽しみにまっています。本当にありがとうございました」

 ふたりは笑い、そしてクオレは船へと向かった。
 クオレを乗せ、ネイビーブルー号は大きく帆を張った。

「さらばだラトゥラ、また会おう」

 こうしてクオレたちはガリアへの帰路につき、行きと同じほど大変な航海を経て、無事、国に帰還することができたのであった。
 クオレたちが手に入れた黄金は四分割にされた。
それぞれの黄金は、資金や物資をすべて出してくれたグレン皇帝、航海をおこなってくれたデビアス提督や水兵たち、冒険に参加してくれたガリア騎士団員たち、そして昔からクオレを支えたアラン・カストロに公平に分配された。
 クオレの取り分がゼロであることに関係者は一様に驚いたが、クオレは笑ってこう答えた。

「おれは親父に復讐を果たせた。これでおれは復讐の人生に終わりを告げることができる。それこそが、おれが得た最高の宝だ」

 これからクオレは自分の人生を歩むことができる。復讐に捕らわれることなく、自分の考えと意思でもって未来へと進めるのだ。クオレは生まれてはじめて、自由を手にしたのであった。

黄金境を目指して 第7章第6話

「こ、こっちに向かって来ているぞ!」
「おれたちを食べる気なんだ!」
「助けてー! 助けてー!」

 インティ人たちはアポカリプの像にすがりつき、神に救いを求めて祈りを捧げた。このままであれば、おそらく殺される瞬間まで、彼らは祈ることしかしないであろう。
 伝説にある。人々の祈りが通じ、大地が黄金色の光を発して魔物を苦しめたと。だから人々は奇跡の再来を信じ、祈りつづけた。
 祈りはある意味で通じた。迫りくる魔物の群れに対し、立ち向かう者たちがいたのだ。

「全軍突貫、ゆくぞ!」

 アラン率いるガリア人が、魔物の群れに攻撃を仕掛けた。
 銃が火を吹き、魔物をほふる。
 剣が光を放ち、魔物をほふる。
 ガリア人たちが雄叫びをあげ、魔物との戦いに参じた。
 ビー・ハザードが魔物の胸に剣を突き刺す。ジー・マックスが魔物の頭に弾を撃ち込む。そしてアランは、二刀の剣を振りかざし、彼らを率いて最前線で戦った。
 襲いくる魔物に対し、ガリア人たちが勇敢に立ち向かう。震え、恐怖し、怯えながら、だが決して逃げださず、命を賭して戦う。勝つために、そして、生き残るために。
 これほど勇敢な者たちを、インティ人はこれまで見たことがなかった。

「すごい・・・・・・」

 感嘆の声が彼らの口から漏れた。それまで恐怖に震えていたインティ人たちが、石像に祈るのを止め、戦いに見入っていた。もしかしたら、彼らなら魔物を倒してくれるかもしれない。その想いにいたった時、インティの人々の口から祈りの言葉が漏れた。
 自分たちのためにではなく、ましてや神やアポカリプのためにでもなく、いま戦っているガリア人に対して、彼らは祈りを捧げた。
 その瞬間、都全体が黄金色の光に包まれた。
 魔を浄化する聖なる光が発現したのだ。

「グオ、グオオォォォォ・・・・・・」

 聖なる光が魔物たちを包み込み、血から生まれた小型の魔物が消滅していく。
 そして本体である魔物も、光に包まれて苦しんでいた。

「グオォオォオオォォォォ・・・・・・」

 悲鳴をあげながら、のたうちまわる。頭を押さえ、涎を垂らし、怒りに任せて建物を踏み砕きながら、規則性のないうなり声を発する。はたから見ていても、苦しんでいるのが手にとるようにわかった。
 この勝機を見逃すようなクオレではない。

「苦しそうだな、おい」

 不敵な声が響いた。
 魔物がクオレを睨む。魔物の血走った視線の先で、クオレが顔に辛辣を浮かべていた。

「だが安心しろ、いま楽にしてやるからな」

 その言葉に魔物は怒り、絶叫と共に拳をクオレめがけて叩きつけた。激しい衝撃が大地を駆ける。石畳が砕け、下の土がむき出しになるほどの威力だった。おそらく、魔物のこれまでの攻撃で一番強力な一撃だっただろう。
 だが、魔物の拳はむなしく地面を破壊しただけであった。
 拳が命中する瞬間、クオレは跳躍し、天高くにいたからだ。

「いけえクオレ、運命を切り開け!」

 クオレの勝利を願い、アランが大声で叫んだ。

「団長、勝ってくれ!」

 兵士たちもクオレの勝利を願って口々に声を張りあげる。

「クオレ、どうかこの国の未来を!」

 ラトゥラやインティの人々も、クオレに希望を託して、彼の勝利を願って祈りを捧げた。

「おおおおおおおおおおおッ!」

 クイラにいるすべての人々の想いを一身に受けて、クオレが渾身の力で剣を振りおろした。
 魔物の頭上に剣が閃光となって炸裂した。
 この瞬間、クオレは運命を切り開いた。自らの運命だけでなく、友や部下たち、そしてラトゥラやインティの人々、この地にいるすべての者たちの運命を切り開いたのであった。

「グオオオオオオォォォォ・・・・・・・・・・・・」

 断末魔の咆哮を発し、魔物が光の中へ溶けるように消えていく。
 天空にわだかまっていた暗雲も、魔物の消滅と同時に消えていた。
 長い夜が明けた。
 淡い黄金色の光が、インティの地をやさしく照らしだしている。それはまるで、この地の新しい夜明けを祝福するような朝陽であった。

黄金境を目指して 第7章第5話

「え?」
「アポカリプがどのような方法で魔物を封印したのか、その方法が定かではないのです。わたしたちが持っていた呪術の文化は刻と共に廃れていき、いまではその力を使える者はまったくいないのです。魔物を復活させないことが、わたしたちにできる唯一の防衛手段でした。だから・・・・・・」

か細い声は途中で途切れ、ラトゥラはうなだれた。

「くそっ!」

 アランは悔しがった。こうしている間も、クオレは命賭けで戦っているというのに、魔物を倒す手段すらわからないとは!
 アランは南の方角を向き、ぎゅっと唇を噛みしめた。
 魔物が咆哮を上げながら暴れていた。巨腕を振り回し、建物を次から次へと破壊している。クオレが高い建物を起点として魔物への攻撃を繰り返しているためだ。
 クオレは俊敏な動きで魔物を翻弄し、鋭い斬撃を浴びせている。跳躍し、魔物の攻撃を回避しながら、目や喉、そして心臓を狙って剣を繰りだしている。強大な敵を相手に、クオレは一歩も退かない。
 だが、戦況は好ましくなかった。その巨体ゆえ、クオレの攻撃は魔物にほとんどダメージを与えられていないのだ。クオレが放つ一撃はすべて必殺だったが、魔物の表面を傷つけることしかできていない。
 しかも恐ろしい事態が併発していた。

「キュロロロロロ」
「グルルルルルル」
「ギュラララララ」

 飛び散った魔物の血が地面で形を成して、人と同じ大きさの魔物が次々と生まれはじめたのだ。それらは奇声を発しながら大群を成し、血を求め、クオレに襲いかかった。

「おおおおおおおおおッ!」

 咆哮を発し、クオレが斬撃を放つ。群がる小型の魔物を一刀で斬り捨てて、なおかつ魔物本体への攻撃も緩めない。
クオレの身体には、魔物たちの爪牙によって無数の傷ができている。服が真っ赤に染まるほど、出血の量も多い。だがしかし、彼の気迫は一向に衰える気配がない。わずかでも怯むことがそのまま敗北に直結することを、クオレは本能的に察知していた。
 しかし現状は、クオレひとりの手でどうにかできる状況ではなかった。クオレは果敢に小型の魔物を仕留めていたが、それでも数が多すぎる。斬り洩らした百を超える魔物の群れが、より多くの血を求め、広場を目指して進みはじめたのだ。
 それに気づいてインティ人たちが悲鳴をあげた。

黄金境を目指して 第7章第4話

「おまえ、正気か!」

 と叫ぶ友人の問いかけには答えず、クオレは魔物に向かって地を蹴った。

「グルオォォォォォォォォォォォォォォォッ」

 恐ろしい唸り声をあげて魔物がクオレめがけて拳を放った。拳が大地に衝突した瞬間、衝撃が走り、地面が揺れた。魔物の拳には隕石のような破壊力があったものの、標的としていたクオレの姿はそこにはなかった。
 クオレは拳が地面に命中するよりも早く、跳躍し、魔物の身体を踏み台にして天高く跳んでいたのだ。そして剣で顔面を斬りつけた。青色の鮮血がほとばしり、絶叫をあげて魔物が顔面を抑える。
 ギロリと魔物がクオレを睨んだ。
 対するクオレもまた、魔物を睨みつけ、一歩も退かぬ決意で敵を見据えている。

「来い、化け物!」

たとえ相手がどんなに巨大で強大であろうとも、一度覚悟を決めた以上、クオレは絶対に勝つつもりであった。

 一方、クオレの邪魔にならぬようにと、ラトゥラを抱きかかえ、逃げ惑う市民たちの流れに沿ってアランが辿りついた場所は、金箔によって彩られた石像が設置されている大きな広場であった。広場にはすでに、何千、何万という市民が避難しており、彼らは皆、膝をついて石像に祈りを捧げていた。

「アポカリプ様、どうか我々をお助けください・・・・・・」
「魔物を鎮め、再び眠りにつかせてください・・・・・・」

 アランにとっては腹立たしい光景であった。いま、魔物と命がけで戦っているのは過去の人間ではなくクオレだ。大体、これはおまえたちの問題だろうが。祈る暇があったら武器を持って戦えよ、おまえたち! そう、アランは心の中で憤っていた。
 アランは広場に先に避難していたビー・ハザードとジー・マックスの姿を見つけると、事情を説明し、クオレに代わって指示をだした。

「すぐに集められるだけの兵を集めてくれ。力になれるかわからないが、クオレを放ってはおけない、加勢に向かう!」
「了解しました・・・・・・」

 力のない返答が、彼らの心境を物語っていた。ふたりとも、恐怖を押し殺したような表情をしている。内心ではとてつもなく怖いのだろう。だが彼らは、それを理由に戦いを拒否するような臆病者ではない。それはおそらく、他の兵士たちも同様であろう。
 それからアランは、ラトゥラのほうを顧みて、両肩を掴んで問いつめた。

「教えてくれ、前の時はどうやってあの魔物を封印したんだ? 呪術師アポカリプはどんな術であの化け物を封印したんだ!」
「・・・・・・わかりません」
プロフィール

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Author:オワタ
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